自律神経とは、内臓や血管、ホルモン分泌、体温調節など、私たちが意識しなくても身体を整えてくれている神経のこと。
主に【交感神経】と【副交感神経】の2つがあり、このバランスが保たれることで、身体は元気に機能します。
•交感神経：活動・緊張・集中モード（昼・仕事中など）
•副交感神経：休息・回復・リラックスモード（夜・睡眠中など）

この2つはシーソーのような関係で、どちらかが強くなりすぎるとバランスが崩れます。

私たちの生活は、常に情報と刺激にさらされています。
•忙しい仕事や人間関係のストレス
•スマホやSNSによる脳の過活動
•睡眠不足や運動不足、食生活の乱れ

こうした日常の中で、身体は常に「戦闘モード＝交感神経優位」になりやすくなっています。
すると本来はリラックスするはずの時間にも、身体は力が抜けず、休まらない状態が続きます。

その結果…
•寝つきが悪い、眠りが浅い
•朝から疲れている
•肩や首が常にこっている
•集中力が続かない
•情緒が不安定になりやすい

といった、心身の不調が現れやすくなるのです。

ここで注目したいのが「呼吸」です。
自律神経は基本的に、私たちの意識ではコントロールできません。心臓の鼓動や腸の働きを、自分の意思で止めることはできませんよね。

でも、「呼吸」だけは別。
私たちは普段無意識に呼吸していますが、意識してゆっくり呼吸することもできるのです。

つまり、呼吸は唯一“意識的に操作できる自律神経のスイッチ”のようなもの。
だからこそ、呼吸を通じて副交感神経に働きかけることで、心身をリラックスモードに導くことが可能になります。

現代人の多くは、「浅くて早い呼吸」が習慣化しています。
これはストレスや姿勢の悪さ、運動不足などが原因です。

浅い呼吸では、本来しっかり使われるべき横隔膜や肋骨全体、背中の筋肉などがほとんど動きません。

これにより、
•脳や身体に届く酸素が不足し、ぼんやりしたり疲れやすくなる
•自律神経が緊張状態のまま、リラックスできない
•呼吸に関わる筋肉が硬くなり、姿勢が崩れる
•呼吸がまた浅くなる（悪循環）

といった、さまざまな不調につながっていきます。

呼吸と姿勢は切っても切れない関係です。
猫背や反り腰では横隔膜がうまく動かず、呼吸が浅くなります。
姿勢を無理矢理伸ばして"固める"のではなくて、呼吸が自然も深くとれるポジションがあるので、そこを覚えられる様一緒に取り組んでいきましょう。

深い呼吸には、肋骨が「しっかり膨らみ、戻る」動きが不可欠です。
それにはまず『吐ける』環境を作ってあげること。肋骨が広がってしまい、吐けないから吸うこともできない人が非常に多いです。
呼吸エクササイズやストレッチ、ウォーキングやジャンプを日常に取り入れると効果的です。

多くの人が「吸う」ことばかり意識していますが、大切なのはしっかり吐けることです。
息を吐くことで副交感神経が働き、身体は自然とリラックスモードになります。

「ふ〜〜っと長く、静かに吐く」ことを意識してみてください。
吐ければ、自然と次の吸う呼吸が深まります。